【第5章】第2節 関係法令⑩
6.交流アーク溶接機用自動電撃防止装置構造規格
昭和47年12月4日 労働省告示第143号
最終改正 平成23年3月25日厚生労働省告示74号
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第47条の規定に基づき、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置構造規格を次のように定め、昭和48年1月1日から適用する。
自動電撃防止装置規格(昭和36年労働省告示第32号)は、廃止する。
第1章 定 格
(定格周波数)
第1条 交流アーク溶接機用電撃防止装置(以下「装置」という。)の定格周波数は、50ヘルツ又は60ヘルツでなければならない。ただし、広範囲の周波数を定格周波数とする装置については、この限りでない。
(定格入力電圧)
第2条 装置の定格入力電圧は、次の表の次欄に掲げる装置の区分に従い、同表の右欄に定めるものでなければならない。
装置の区分 | 定格電源電圧 | |
---|---|---|
入力電源を交流アーク溶接機の入力側からとる装置 | 定格周波数が50ヘルツのもの | 100ボルト又は200ボルト |
定格周波数が60ヘルツのもの | 100ボルト、200ボルト又は220ボルト | |
入力電源を交流アーク溶接機の出力側からとる装置 | 出力側の定格電流が400アンペア以下である交流アーク溶接機に接続するもの | 上限値が85ボルト以下で、かつ、下限値が60ボルト以上 |
出力側の定格電流が400アンペアを超え、500アンぺア以下である交流アーク溶接機に接続するもの | 上限値が95ボルト以下で、かつ下限値が70ボルト以上 |
(定格電流)
第3条 装置の定格電流は、主接点を交流アーク溶接機の入力側に接続する装置ににあっては当該交流アーク溶接機の定格出力時の入力側の電流以上、主接点を交流アーク溶接機の出力側に接続する装置にあっては当該交流アーク溶接機の定格出力電流以上でなければならない。
(定格使用率)
第4条 装置の定格使用率(定格周波数及び定格入力電圧において定格電流を断続負荷した場合の負荷時間の合計と当該断続負荷に要した全時間との比の百分率をいう。以下同じ。)は、当該装置に係る交流アーク溶接機の定格使用率以上でなければならない。
第2章 構 造
(構造)
第5条 装置の構造は、つぎの各号に定めるところに適合するものでなければならない。
1 労働者が安全電圧(装置を動作させ、交流アーク溶接機のアークの発生を停止させ、装置の主接点が開路された場合における溶接棒と被溶接物との間の電圧をいう。以下同じ。)の遅動時間(装置を作動させ、交流アーク溶接機のアークの発生を停止させた時から主接点が開路される時までの時間をいう。以下同じ。)及び始動感度(交流アーク溶接機を始動させることができる装置の出力回路の抵抗の最大値をいう。以下同じ。)を容易に変更できないものであること。
2 装置の接点、端子、電磁石、可動鉄片、継電器その他の主要構造部分のボルト又は小ねじは、止ナット、ばね座金、舌付座金又は割ピンを用いる等の方法によりゆるみ止をしたものであること。
3 外箱より露出している充電部分には絶縁覆(おお)いが設けられているものであること。
4 次のイからへまでに定めるところに適合する外箱を備えているものであること。ただし、内蔵型の装置(交流アーク溶接機の外箱に組み込んで使用する装置をいう。以下同じ)であって、当該装置を組み込んだ交流アーク溶接機が次のイからホまでに定めるところに適合する外箱を備えているものにあっては、この限りでない。
イ 丈夫な構造であること。
ロ 水又は粉じんの侵入により装置の機能に障害が生ずるおそれのないものであること。
ハ 外部から装置の作動状態を判別することができる点検用スイッチ及び表示灯を有するものであること。
二 衝撃等により容易に開かない構造のふたを有するものであること。
ホ 金属製のものにあっては、接地端子を有するものであること。
へ 外付け形の装置(交流アーク溶接機に外付けして使用する装置をいう。以下同じ。)に用いれれるものにあっては、容易に取り付けることができる構造のものであり、かつ、取付方向に指定がある物にあつては、取付方向が表示されているものであること。
(口出線)
第6条 外付け形の装置と交流アーク溶接機を接続するための口出し線は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
1 十分な強度、耐久性及び絶縁性能を有するものであること。
2 交換可能なものであること。
3 接続端子に外部からの張力が直接かかりにくい構造のものであること。
(強制冷却機能の異常による危険防止装置)
第7条 強制冷却の機能を有する装置は、当該機能の異常による危険を防止す措置が講じられているものでなければならない。
(保護用接点)
第8条 主接点に半導体素子を用いた装置は、保護用接点(主接点の短絡による故障が生じた場合に交流アーク溶接機の主回路を開放する接点をいう。以下同じ。)を有するものでなければならない。
(コンデンサー開閉器用接点)
第9条 コンデンサーを有する交流アーク溶接機に使用する装置であって、当該コ>ンデンサーによって誤作動し、又は主接点に支障を及ぼす電流が流れるおそれのあるものは、コンデンサー開閉用接点を有するものでなければならない。
第3章 性 能
(入力電圧の変動)
第10条 装置は、定格入力電圧の85パーセントから110パーセントまで(入力電源を交流アーク溶接機の出力側からとる装置にあっては、定格入力電圧の下限値の85パーセントから定格入力電圧の上限値の110パーセントまで)の範囲で有効に作動するものでなければならない。
(周囲温度)
第11条 装置は、周囲温度が40度から零下10度までの範囲で有効に作動するものでなければならない。
(安全電圧)
第12条 装置の安全電圧は、30ボルト以下でなければならい。
(遅動時間)
第13条 装置の遅動時間は、1.5秒以内でなければならない。
(始動感度)
第13条の2 装置の始動感度は、260オーム以下でなければならない。
(耐衝撃性)
第14条 装置は、衝撃についての試験において、その機能に障害を及ぼす変形又は、破損を生じないものでなければならない。
2 前項の衝撃についての試験は、装置に通電しない状態で、外付け形の装置にあっては装置単体で突起物のない面を下にして高さ30センチメートルの位置から、内蔵型の装置にあっては交流アーク溶接機に組み込んだ状態での質量が25キログラム以下のものは高さ25センチメートル、25キログラムを超えるものは高さ10センチメートルの位置から、コンクリート上又は鋼板上に3回落下させて行うものとする。
(絶縁抵抗)
第15条 装置は、絶縁抵抗についての試験において、その値が2メガオーム以上でなければならない。
2 前項の絶縁抵抗についての試験は、装置の各充電部分と外箱(内蔵型の装置にあっては、交流アーク溶接機の外箱。次条第2項において同じ。)との間の絶縁抵抗を500ボルト絶縁抵抗計により測定するものとする。
(耐電圧)
第16条 装置は、耐電圧についての試験において、試験電圧に対して1分間耐える性能を有するものでなければならない。
2 前項の耐電圧についての試験は、装置の各充電部分と外箱との間(入力電源を交流アーク溶接機の入力側からとる装置にあつては、当該装置の各充電部分と外箱との間及び当該装置の入力側と出力側との間。次項において同じ。)に定格周波数の正弦波に近い波形の試験電圧を加えて行うものとする。
3 前二項の試験電圧は、定格入力電圧において装置の各充電部分と外箱との間に加わる電圧の実効値の2倍の電圧に1000ボルトを加えて得た電圧(当該加えて得た電圧が1500ボルトに満たない場合にあつては、1500ボルトの電圧)とする。
(温度上昇限度)
第17条 装置の接点(半導体素子を用いたものを除く。以下この項において同じ。)及び巻線の温度上昇限度は、温度についての試験において、次の表の左欄に掲げる装置の部分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以下でなければならない。
装置の部分 | 温度上昇限度の値(単位:度) | ||
---|---|---|---|
温度計法による場合 | 抵抗法による場合 | ||
接点 | 銅又は銅合金によるもの | 45 | – |
銀又は銀合金によるもの | 75 | – | |
巻線 | A種絶縁によるもの | 65 | 85 |
E種絶縁によるもの | 80 | 100 | |
B種絶縁によるもの | 90 | 110 | |
F種絶縁によるもの | 115 | 135 | |
H種絶縁によるもの | 140 | 160 |
2 半導体素子を用いた装置の接点の温度上昇限度は、温度についての試験において、当該半導体素子の最高許容温度(当該半導体素子の機能に障害が生じないものとして定められた温度の上限値をいう。)以下でなければならない。
3 前二項の温度についての試験は、外付け形の装置にあっては装置を交流アーク溶接機に取り付けた状態と同一の状態で、内蔵型の装置にあっては装置を組み込んだ交流アーク溶接機にも通電した状態で、当該装置の定格周波数及び定格入力電圧において、接点及び巻線の温度が一定となるまで、10分間を周期として、定格使用率に応じて定格電流を継続負荷して行うものとする。ただし、接点の温度についての試験については、定格入力電圧より低い電圧において、又は接点を閉路した状態で行うことができる。
(接点の作動性)
第18条 装置の接点(保護用接点を除く。以下この条において同じ。)は、装置を交流アーク溶接機に取り付け、又は組み込んで行う動作についての試験において、溶着その他の損傷又は異常な作動を生じないものでなければならない。
2 前項の作動についての試験は、装置の定格周波数及び定格入力電圧において、装置を取り付け、又は組み込んだ交流アーク溶接機の出力電流を定格出力電流の値の110パーセント(当該交流アーク溶接機の出力電流の最大値が定格出力電流の値の110パーセント未満である場合にあっては、当該最大値)になるように調整し、かつ、6秒間を周期として当該交流アーク溶接機に断続負荷し、装置を2万回作動させて行うものとする。
(保護用接点)
第19条 保護用接点は、装置を交流アーク溶接機に取り付け、又は組み込んで行う作動についての試験において、1.5秒以内に作動し、かつ、異常な作動を生じないものでなければならない。
2 前項の作動についての試験は、第17条第2項の温度についての試験を行った後速やかに、装置の定格周波数において、定格入力電圧、定格入力電圧の85パーセントの電圧及び定格入力電圧の110パーセントの電圧(以下この項において「定格入力電圧等」という。)を加えた後主接点を短絡させる方法及び主接点を短絡させた後定格入力電圧等を加える方法により、装置をそれぞれ10回ずつ作動させて行うものとする。
第4章 雑 則
(表 示)
第20条 装置は、その外箱(内蔵形の装置にあっては、装置を組み込んだ交流アーク溶接機の外箱)に、次に掲げる事項が表示されているものでなければならない。
1 製造者名
2 製造年月日
3 定格周波数
4 定格入力電圧
5 定格電流
6 定格使用率
7 安全電圧
8 標準始動感度(定格入力電圧における始動感度をいう。)
9 外付け形の装置にあっては、次に掲げる事項
イ 装置を取り付けることができる交流アーク溶接機に係る次に掲げる事項
(1)定格入力電圧
(2)出力側無負荷電圧(交流アーク溶接機のアークの発生を停止させた場合における溶接棒と被溶接物との間の電圧をいう。)の範囲
(3)主接点を交流アーク溶接機の入力側に接続する装置にあっては定格出力時の入力側の電流、主接点を交流アーク溶接機の出力側に接続する装置にあっては、定格出力電流
ロ コンデンサーを有する交流アーク溶接機に取り付けることが出来る装置にあっては、その旨
ハ ロに掲げる装置のうち、主接点を交流アーク溶接機の入力側に接続する装置にあっては、当該交流アーク溶接機のコンデンサーの容量の範囲及びコンデンサー回路の電圧
(特殊な装置等)
第21条 特殊な構造の装置で、厚生労働省労働基準局長が第1条から第19条までに規定に適合するものと同等以上の性能があると認めたものについては、この告示の関係規定は、適用しない。
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