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【第2章】第4節 電気使用設備④

4.保守点検

感電災害を防ぐことはもちろん、あらゆる機器設備の故障を未然に防止する為保守点検を徹底する必要があります。一般に、使用中の設備や機器の故障を未然に防止する為に実施するのが「予防保全」、故障発生の都度修理・交換等を直ちに行う事が「事後保全」と呼ばれています。

予防保全は過去の感電災害・設備事故等の事例を参考とし、又経年劣化は必ずあるという観念から詳細にかつ広範囲に調査する事が重要で、対象設備に対して計画的に実施します。

予防保全の重要ポイントとしては次の項目があります。

① 災害リスクが高い設備・機器の特定

② 設備や機器の災害発生につながる問題点

③ 過去の災害発生状況の把握

以上の3項目を重要ポイントとして把握したうえで、災害に至らないための具体的な対策を実施する事が重要です。


予防保全を徹底して行うことによる効果として、設備不良による感電災害が抑制され、結果的には工事費用の節減が出来るとともに計画作業の実施による安全化につながります。また、設備の延命化が出来る場合もあります。計画作業の実施は作業時間の短縮、人件費の節減、そして作業手順の改善に取り組むことなどによる安全に対する意識の高揚・定着といった効果も期待されます。

「予防保全」は、各設備・機械・工具等に留まらず全ての事に共通する重要な考え方であり実施項目です。

一方「事後保全」は、故障が発生したその都度処理をすることです。設備不良による感電災害は機械災害と連動している場合も多く、故障の状況によっては修理・交換などの必要により即時解決できず膨大な時間、日にちを要することもあります。

また、一連の処理作業には臨時的緊急作業といったケースもあるため、その作業自体に必要な安全対策が疎かになりがちな点に注意を要するとともに、経過を記録し残すことが重要となります。


保全活動に欠かせないものとして点検があります。点検には大別して外観の目視点検と測定点検がありますが、目視点検は最低限度の点検です。正確な点検は、日々の作業開始前に施設設備・機械・工具の点検を行う時、点検表やチェックリストを利用して行い、各点検項目を忠実に実施し正確に記録することが大切です。また、記録を行った書類は必ず残し、所定の期間保管する事も点検作業内容の一つです。

共通の点検内容に留まらず、建物の種別、設備内容、機器・工具の種類、経年等種々の条件によっては点検表の内容も変わります。もちろん法令に基づくものは必ず実施しなければなりません。

また、特に低圧電気が主として使用される建設現場等は仮設電気設備が多く、工程の進捗によって使用工具も作業者も頻繁に変化していきますので、日々危険が伴っていると言えます。設備設置側、使用側共に日々の使用前の点検が非常に重要となります。


1台の不良工具を使用した為、想定をはるかに超える災害・被害が発生した例は数えきれないほどあります。特に電気を専門として扱う者は、電気設備・機器個々に対応した点検表を作成・実施し、安全第一として無災害で日々を送れるよう努めなければなりません。

一例として、建設現場での「低圧仮設電気及び使用工具点検表」をあげれば、主幹を始めとして末端までの、以下に例示する点検を行います。

①開閉器容量確認

②目視による各設備の破損状態

③漏電遮断器のトリップテスト

④主接地及び末端接地の施工状況

⑤回路表示札の取り付け状態

⑥使用機器への業者名札・機器名札取り付け状態

⑦接地付き工具の接地状況

⑧各仮設分電盤扉への(主)責任者・(副)責任者名貼り付け

⑨扉の施錠及び鍵の保管管理状況

⑩盤内の電気回路及び機能の定期点検表(点検者の名前入り)貼り付け


【各種点検器具の例】

感電による死亡災害者数の状況(厚生労働省公表データより)

 

 

 

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