メニューボタン

【第2章】第4節 電気使用設備③

2.電動機械器具(移動式・可搬式)

移動式・可搬式の電動機械器具は固定式の設備などより使用状況が過酷な場合が多く、電源ケーブルなどの露出部分や器具内のモーター巻線等の絶縁劣化、点検整備不良などによって感電・火災や故障が発生するおそれが高くなりがちです。

移動式電動機械器具の一例として、ベルトコンベア・クラッシャー・コンプレッサー・コンクリートミキサー・工場扇等があり、可搬式工具の一例としては、電気ドリル・丸のこ・グラインダー等がありますが、これらの機械器具を使用する際の感電対策として次の事項があげられます。

1.感電防止用漏電遮断器の使用 

2.二重絶縁機器の使用 

3.電動機械器具外箱の接地 

4.非接地式電路の採用 

5.日常点検、定期点検の実施


1)漏電遮断器の使用については、まとまった回路での主幹に取り付けると不良機器1台の故障の為に全回路が一斉に停電し、全機器が使えなくなる場合があります。

こういう結果にならないように、使用する機器毎に取り付ける事が望ましいとされています。最初から計画された建物内等は専用の設備が整っていますが、一時使用(仮設・臨時)では、漏電遮断器付きコンセント、コードリール等を使用します。


漏電遮断器及び漏電遮断器付きコンセント

写真)漏電遮断器及び漏電遮断器付きコンセント


2)二重絶縁機器は感電を防止する為に作られた機器です。可搬式工具の中でも接地を必要とせず安全に信用性高くかつ便利です。 


漏電遮断器及び漏電遮断器付きコンセント

3)電動機外箱の接地は、金属性の箱に漏電が生じた場合これを大地に流す為、外箱と大地を接地線により電気的に接続しておくものです。これにより万一作業者が漏電中の外箱に接触した際でも、ダメージを減らす効果が期待できます。

また、漏電が始まる時期が不明なことも漏電災害発生要因の一つですが、漏電遮断器と接地を併用することで、漏電が始まると瞬時に検知し回路を遮断することが出来、漏電災害を未然に防止することにつながります。


4)非接地式電路の採用は、一般的に人が充電部に触れても回路を構成しないため大地間に電流が流れず、安全とされています。

反面、この方式の注意すべき点は電路の一線が地絡したとき他の相が地絡すると大きな短絡事故を起こす恐れがあることです。こういった事故につながる一線地絡相の検出が現時点では技術的に難しい事等を考慮し、この方法を実施するならば電気主任技術者が常駐して、十分に管理が出来る環境であることが求められます。


5)漏電防止に関する点検等は、一定の絶縁機能を維持することにより漏電災害の発生を防ぐためのものです。あらゆる方法を用いて漏電や機能低下が無いように点検・補修を実施する事が必要です。


また、これらの設備や工具を使用するための電源コード(電工ドラム)なども、思わぬトラブルの原因になりますので、使用上の注意点などを確認したうえで正しい使い方をしましょう。

特に、巻いたままで使用し続けるとケーブルが熱を持ち焼けることがあるので、注意が必要です。

(100V仕様の場合の許容電流は全部引き出すと15Aまで、巻いたままだと7A程度までとなっている)

また、あまり長い距離をつないで使用したりすると、電圧降下によって機器が正常に動かないこともあります。

(例:2.0mm²電線で15Aの電流を流した場合、50m先で115Vの電圧は約100Vに低下)

なお、最近は漏電遮断器内蔵型や、温度上昇警告ランプの付いたタイプも増えていますので、より作業に適した安全なものを選ぶことも大切です。


【電工ドラムの例】

漏電遮断器及び漏電遮断器付きコンセント

※右のタイプは電線溶解防止のため、全部引き出さないとプラグが差し込めない仕様、「建設業労働災害防止協会」推薦品になっています。


3.移動用照明器具

移動用照明器具には一般的にハンドランプ・投光器・リフター付投光器等があり、固定式と比べて使用状態が非常に過酷な場合が多い為、破損する頻度も高く球替えの際などに感電災害を起こす場合も少なくないので、これらの使用については次の様なことに注意する必要があります。

①100Vのもので感電する例が多い。

②破損防止のためガードは必ず付けて使用する。

③電球の表面は非常に高温になる場合があるので、接触による火傷はもちろん、思わず手を放して破損や落下による災害発生の恐れがある。

④割れた電球のフィラメントで感電することがある。

⑤割れた電球のガラスで手を切ったりすることがある。

⑥上記を踏まえ必ず高感度の漏電遮断器が取り付けられた回路を使用する。

人体内部の抵抗:手と手を100としたときの割合

 

 

 

このページをシェアする

講習会をお探しですか?

 

受講者様のご希望に合わせ、以下のタイプの講習会もご用意しています

WEB講習
オンラインで会社や自宅で受講可能
出張講習
指定の会場へ講師を派遣いたします

▲ページ先頭へ