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【第2章】第2節 受変電設備②

2.受変電設備

受電設備とは電力会社から高圧又は特別高圧で引き込んだ電力を受ける為の需要家側の設備であり、大きく分けて開放型組立式受電設備とキュービクル式受電設備が有ります。一般的にはキュービクル方式受電設備が多く採用されていますが、どちらの設備も電力側と需要家側双方の条件を確認した上で受電設備の方式を決定します。


この中で特別高圧設備は電圧の高さに応じて使用する材料等で大きい形状の物が多い為、地上式開放型を優先することが多くなります。

引き込みケーブルがVCTを通り~断路器を経て高圧遮断器(VCB)の一次側Aに接続され、二次側Bから高圧母線につながります。

※VCT(計器用変圧変流器)は電力会社が電力量を計測する為に電流・電圧を検出する部分であり、又事故時に電力を遮断する為の受電遮断器、事故を検出して遮断器を動作させるための保護継電器、電圧・電流・力率を計る計器類等で構成されています。


1) 開放型組立式受電設備

開放型受電設備には屋上式・柱上式・地上式・屋内式が有ります。


【 開放型受電設備 】  

開放型受電設備

2) キュービクル式受電設備

キュービクル式受電設備は箱型の中に必要部材がコンパクトに組み込まれています。この為、広いスペースを必要とせず、構内の一角、屋上、屋内、地下室等に簡単に設置できること、充電部の各部材が内部に収まり露出していないことから、安全性が高く保守点検も行い易いといった特徴があります。

高圧遮断器や変圧器・保護継電器・低圧配電盤(電灯・動力等)・計器類等、電気室の中に置かれるべき受電機器類をユニット型にして、鋼板製で作られた箱型の内部に組み入れ、JIS(日本工業規格)により一つの個体として納められているのが「キュービクル」です。


 【 キュービクル式受電設備 】

キュービクル式受電設備

受電設備は、建物内の電力供給の心臓部にあたり、建物の隅々迄電気が送り届けられています。


3.その他の設備

1)非常用電源設備

非常用電源設備とはまさに非常時に使用される電気です。建物内で使用する電気は通常電力会社から供給されていますが、何らかの原因で停電が起きれば電気は使えなくなります。しかし、建物の種類によっては少しの時間でも停電すると大きな支障が有る場合も考えられます。例えば病院で手術中や人工透析中に電気が止まると命にかかわりますので、何らかの方法手段によって電力をバックアップする為の設備が必要となります。それが「非常用電源設備」です。

また、建物の一定の規模内容によっては消防法の規定により、火災発生時自動的に火災を感知し警報を発する自動火災報知設備を作動させ、「消火栓」や「スプリンクラー」、火災時の煙を排出する為の「排煙設備」、避難経路に最低限の明かりを確保する「非常照明」などを起動させる役割を担っているものもあり、人命に係る電力供給を確保するため、電力会社からの電力が復電する迄の対応を行っています。

なお、「非常電源」は消防法で使われる言葉であり、建築基準法では「予備電源」という言葉が使われています。「非常電源」も「予備電源」も、停電が発生した時に電力をバックアップする為の設備を指している為、まとめて「防災電源」とも言っています。


2)自家用発電設備

自家用発電設備は停電時に使う目的ではなく、「常用発電設備」と「非常用発電設備」があり、常用発電機を通常使いながら、停電時には瞬時に非常用発電機に切り替わる「常時・非常時対応兼用型」も有ります。


自家用発電機の分類としては下記の通りです。

  発電機種類 平常時 停電時
自家用発電機 常 用 運 転 停 止
常用・非常用兼用 運 転 運 転
非常用 停 止 運 転

それぞれの発電機には、開放型とキュービクルタイプが有ります。

発電機の燃料として、ディーゼル発電機・ガスタービン発電機にはA重油や軽油が使用されますが、常用発電機の燃料は大量に使うため、揮発税がかからない等の理由で重油が良く使われます。非常用発電機には常に入手しやすい軽油を使われる事が一般的です。

なお、商用非常用兼用発電機・非常用専用発電機の場合は消防法等の規制もあり、種々の検査を必要とします。

また、非常電源との関連で蓄電池設備があり、建物内での蓄電池設備は大別して二通りの使い方(設備)があります。近年では使用する機器が繊細になっている為各々の機器ごとに専用蓄電池を設置する方法と、一か所にまとめて設置する方法があります。特に現代社会の様々な場面で欠くことのできないコンピュ-タ-システム等について、電力電源(商用電源)が停電となった時、データーなどに支障が無い様に瞬時でバックアップする設備であり、防災関連では電力電源(商用電源)が停電となった時発電機を起動させ、発電機自体の定格電圧が確保出来る迄のつなぎの役目も果たします。

さらに、非常時建物内から人が避難する際に真っ暗では支障があり、最低限度の明るさを確保する非常照明を瞬時に点灯させる役割も担っています。

この様に蓄電池設備は種々の設備において、停電の際瞬時にバックアップを行う設備です。


3)無停電電源装置

無停電装置はUPS(Uninterruptible Power SuppIy)と呼ばれています。停電時、非常用発電設備や蓄電池設備では、停電してから一定の電圧を確立できるまで時間がかかります。一瞬の寸断も許されない重要で大量のデーター収集収納機器・精密機器のソフト等稼働中のラインなど、瞬時にバックアップが必要な場合に作動します。UPSはあくまでも、短時間の停電や一瞬の電圧降下をバックアップするもので、蓄電池の容量は概ね時間が限られており長くても5分から10分程度です。長時間の停電をバックアップするには、UPS でだけでなく、自家用発電設備を併用させて設ける必要があります。

 

 

 

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