【第2章】第2節 受変電設備①
1.電気は何処から引き込む?
各目的場所に電気を引き込む場合、その場所で使う電気の量によって引き込む電圧が変わります。近年一般家庭では単相三線式100V(200V機器使用可)を主としていますが、大量の電力が必要とされる大規模の工場・プラント・施設・建物には高い電圧で引き込むことになります。
電力は電気の大きさ(パワー)を示し、電圧と電流の積で表されます。同じ電力なら電圧が低いほど電流は大きくなり、反対に電圧が高ければ電流は小さくなります。同じ電力を送るならば電圧が高いほど電流は小さくなり、細い電線で送電出来るので経済的なのです。
(=数十万ボルトの高電圧で送電する理由のひとつ)
電力を使用する時、一般的には電力会社と電気使用者の間で決められる「契約電力」の値によって、引き込む電圧が変わります。
契約電力が50KW未満の場合は、低圧(100V・200V)で引き込む(受電する)ことになり、契約電力が50KW以上の場合は、高圧(6KV)で引き込むことになります。
また、大電圧・大電流を必要とされ契約電力が2000KW以上になる場合は、特別高圧(2万V、3万V、6万Vなど)での引き込みとなります。
契約電力と受電電圧
契約電力 | 50KW未満 | 50KW以上 2000KW未満 |
2000KW以上 |
受電電圧 | 【低圧】 1Φ2W100V 1Φ3W200・100V 3Φ3W200V |
【高圧】 3Φ3W6kV |
【特別高圧】 3Φ3W2万V 3Φ3W3万V 3Φ3W6万V等 |
記号:1Φ2W100V ⇒ 単相2線式100ボルト
:1Φ3W200・100V ⇒ 単相3線式200,100ボルト
:3Φ3W200V ⇒ 3相3線式200ボルト
:3Φ3W6kV ⇒ 3相3線式6キロボルト
上記の表の通り契約電力と受電電圧の関係です。
このような各種の目的によって異なる電気は、どの様な形で需要家側に引き込まれているのでしょう。
通常どんな建物や工場施設も、必ず外部から電気を引き込んでいます。低圧引き込みとして、一般住宅・小規模店舗・小規模ビル等は道路上の電力電柱から架空線で建物の壁等に引き込むのが一般的ですが、需要家が見栄えが悪いとか、架空では近隣・その他の支障ある等が理由で低圧引き込み用鋼管柱等を敷地内に建て、引き込む場合もあります。
また、街中においては架空で引き込みが不可能の場合、あるいはその場所の状況(地中化計画・電力供給状況・美観等)に応じて地中引き込みを行っている所もあります。
架空引き込みと地中引き込みのコストは地中化の方が高くかかりますが、電力を使用する場所に応じて、又先々の電力供給計画を踏まえ対応されています。
以上の様に、高圧引き込みの方法は架空引き込みと地中引き込みがあり、電力供給側と電力を使用する双方が責任分解点を明確にする為に、開閉器が取り付けられます。通常この開閉器を、気中開閉器(PAS:「パス」)と呼んでいます。
以上、電力引き込みには二つの方法により、状況に応じて対応しています。いずれも施工にあたっては、近隣状況確認等を踏まえ電力側と需要家側との責任分解点を明確にされたうえで設備されています。
なお、地中引き込みの場合は、需要家ピラーボックス内に開閉器が設けられており、電力側と需要家側の責任分解点は図の接続点Ⓐとされています。
建物に引き込む電気の種類
電力会社より各需要家に供給される電力は、高圧側は6,600V三相3線式の非接地配電方式とし、通常低圧側は100V、200V、400V、三相3線式、単相3線式、単相2線式の接地方式で配電されています。
電気方式と電気使用機器との関連は、住宅で使用する電力は主に単相100Vを使用し、業務用・大電流・大容量を使用する工業用大型機器等は、三相3線200Vで使用されているのが一般的ですが、需要家によっては使用目的から400Vを使用する場合があります。
一般に電圧を高くすれば電流は少なくなり使用する電線も細くできるメリットがありますが、安全面では電圧が高い程危険度が高くなります。需要家側は使用目的・生産性・経済性・安全性等を考慮し設備を設置します。
電気方式と電気使用機器例
単相2線式 | 100V | 一般白熱灯、蛍光灯、洗濯機、冷蔵庫、 電子レンジ、テレビ等家庭用電化製品 |
単相2線式 | 200V | 水銀灯、ハロゲン灯、クッキングヒーター、 電気温水器、冷暖房機 |
単相3線式 | 100V/200V | 一般白熱灯、蛍光灯、洗濯機、冷蔵庫、 電子レンジ、テレビ、冷暖房機、クッキングヒーター |
三相3線式 | 200V | 一般電動機(大型)、工業用電熱器 |
三相3線式 | 400V | 工場使用機器・トンネル内使用機器等 |
【 単相2線式100V 】
【 単相3線式 100V/200V 】
以上は電圧線と中性線から成る単相2線式(100V)と、電圧線と中性線と電圧線から成る単相3線式(各電圧線と中性線で100Vが使え、電圧線と電圧線で200Vが使える)の配線方式です。この配線方式は現在一般家庭で使用されているもっとも多い基本的な方式です。
このページをシェアする
講習会をお探しですか?