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【第4章】1 労働衛生に関する法律等の概要①

1-1 労働安全衛生法成立まで

憲法をはじめとする現行の法律の多く(国会法、内閣法、国家公務員法、地方自治法、学校教育法、教育基本法、戸籍法、国家賠償法、財政法、裁判所法、労働基準法、など)が昭和22(1947)年に施行されています。

この当時「労働安全」については労働基準法第五章の「安全及び衛生」に規定されており、そこから分離・独立した形で「労働安全衛生法」が昭和47(1972)年施行されています。その痕跡として労働基準法は現在でも『第四十三条から第五十五条まで 削除』となっています。

労災死亡者

このちょうど四半世紀の間に、連合国軍による占領期から昭和27(1952)年4月の講和条約発効に伴う主権回復を経て、戦後の復興・高度経済成長期を迎えるとともに、労働災害も増加し一時期は高止まりの状況でした。

首都高完成時の取材記事(柳田邦夫『心の貌』より)

「私は開通式の取材に行っています。その時、関係者の雑談の中で、『工事現場では、建設費一億円ごとに一人死ぬんです』と言った。たとえば三百億円かかった工事であれば、三百人死ぬ」

「たとえ死者が一人であっても、その父ちゃんを送り出した東北の家にしてみれば大変なことなのです。それが建設業界では、十人とか百人という単なる数字で括られてしまう」

「当時、工事現場とは出稼ぎ労働者が必ず死ぬところでした」

「開通当初は明治神宮の裏手にあった料金所の脇に、建設中の事故で亡くなった人たちの慰霊碑が建っていましたが、いつの間にか料金所と共に慰霊碑もなくなってしまいました」

こうした状況を受けて、「労働安全衛生法」が、数年の準備を経て昭和47(1972)年成立しました。

その後、リスクアセスメントやストレスチェック条項の追加など、時代とともに必要な追加や修正が行われて現在に至っています。


【参考】労働安全衛生法の主な改正(いずれも公布された年で表示)

昭和55(1980)年

1. 建設工事の計画の安全性に関する事前審査制度の充実強化

2. 重大事故発生時における安全を確保するための措置

3. 下請混在作業現場における安全衛生対策の充実強化

昭和63(1988)年

1.安全衛生管理体制の充実

2.機械等及び化学物質に関する規制の充実

3.健康の保持増進のための措置

4.建設業等における労働災害防止対策の充実


平成4(1992)年

1.建設業の元方事業者は、店社安全衛生管理者を選任し、中小規模建設現場の安全衛生管理を指導させること。

2.元方事業者、注文者による労働災害防止のための措置

3.計画段階での安全性の確保
都道府県労働基準局長が、一定の建設工事の計画について技術的審査を行うことができること。

4.労働災害を発生させた事業場の安全管理者等及び就業制限業務従事者に対し、講習の受講を指示することができること。

5.快適な職場環境の形成の促進


平成17(2005)年

1.危険・有害要因の特定、低減措置の推進

2.製造業等の元方事業者等の講ずべき措置?混在作業現場における安全衛生管理

3.施設・設備の管理権原に基づく安全衛生管理?注文者による危険有害情報の提供

4.化学物質管理の表示・文書の交付制度の改正と有害物ばく露報告制度の新設

5.すべての健康診断結果の労働者への通知-特殊健診結果の追加

6.長時間労働者等に対する面接指導、医師の職務追加、医師意見の報告、面接指導の秘密保持

7.安全衛生マネジメントシステムの実施事業者に対する計画届の免除制度

8.安全衛生委員会の調査審議事項の追加、総括安全衛生管理者の職務、安全管理者資格の見直し、職長教育のカリキュラム追加

9.免許・技能講習制度の見直し

10.衛生管理者及び安全管理者の「事業場に専属の者」とする要件の一部見直し


平成26(2014)年

1.化学物質管理のあり方の見直し

2.ストレスチェック制度の創設

3.受動喫煙防止対策の推進

4.重大な労働災害を繰り返す企業への対応

5.外国に立地する検査機関等への対応

6.規制・届出の見直し等

1-2 労働安全衛生に関する法体系

労働安全衛生関連の法律・政令・省令をまとめると、以下の図のようになっています。

安全衛生に関する法体系図

 

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