【第2章】1 リスクアセスメント⑨
1-3 リスクアセスメントの進め方 3)実施例
3) 実施例
1.リスクの見積もりを、「危険性・有害性に近づく頻度」、「危険性・有害性に近づいた時にけがをする可能性」、「けがの程度」の計3つの要素により、加算方式で行った例。
①「危険性・有害性(危険源)に近づく頻度」基準
近づく頻度 | 評価点 | 基準 | |
---|---|---|---|
頻繁 | 4点 | 頻度 | 数回/日 頻繁に立ち入ったり接近する |
状況 | 突然に、不意に、予期せぬ時に、無防備の状態で立ち入ったり接近したりする | ||
時々 | 2点 | 頻度 | 1~2 回/日 トラブル・修理・調整等で立ち入ったり・接近する |
状況 | 一定ルールの基で、これを順守しながら立ち入り・接近することになっている | ||
めったにない | 1点 | 頻度 | 数回/週 一般的に危険領域に立ち入ったり接近する必要はほとんどない |
状況 | 立ち入りあるいは接近が事前に分かるので、周到に準備したうえで実行する |
②「危険性・有害性に近づいた時にけがをする可能性」基準
けがの可能性 | 評価点 | 基準 | |
---|---|---|---|
確実である | 6点 | ハード | 安全対策がされていない。表示や標識はあっても不備が多い状態。 |
ソフト | 安全ルールを守っていても、よほど注意力を高めないと災害につながる。安全ルールや作業標準すらない状態。 | ||
可能性が高い | 4点 | ハード | 防護柵や防護カバー、その他安全装置がない。たとえあったとしても相当不備がある。非常停止や表示・標識類は一通り設置されている。 |
ソフト | 安全ルールや作業標準はあるが守りにくい。注意力を高めていないとけがに繋がる可能性がある。 | ||
可能性がある | 2点 | ハード | 防護柵や防護カバーあるいは安全装置は設置されているが、柵が低い、隙間が大きいといった不備がある。危険領域への侵入や危険性・有害性との接触が起こり得る。 |
ソフト | 安全のルールや作業標準等はあるが、一部守りにくいところがある。うっかりしているとけがに繋がる可能性がある。 | ||
可能性はほとんどない | 1点 | ハード | 防護柵・防護カバーで囲まれ、かつ安全装置が設置され、危険領域への立ち入りが困難な状態。 |
ソフト | 安全のルールや作業標準等は整備されており、守りやすい。特別に注意しなくてもけがをすることはほとんどない。 |
③「けがの程度」基準
けがの可能性 | 評価点 | 基準 |
---|---|---|
致命傷 | 10点 | 死亡や永久的労働不能に繋がるけが |
重傷 | 6点 | 重傷(長期療養を要するけが)及び障害の残るけが |
軽傷 | 3点 | 休業災害及び不休災害(いずれも完治可能なけが) |
微傷 | 1点 | 手当後、直ちに元の作業に戻れる軽いけが |
④ リスクレベルとリスクポイント
リスク レベル |
リスク ポイント |
評価 | 基準 |
---|---|---|---|
Ⅴ | 14~20 | 直ちに解決すべき問題がある | 直ちに中止又は改善する |
Ⅳ | 12~13 | 重大な問題がある | 優先的に改善する |
Ⅲ | 9~11 | かなり問題がある | 見直しを行う |
Ⅱ | 6~ 8 | 多少問題がある | 計画的に改善する |
Ⅰ | 3~ 5 | 必要に応じて、リスク低減措置を実施する | 残留リスクに応じて教育や人材配置をする |
2.リスクの見積もりを、「作業頻度」、「設備的要因による発生の可能性」、「人的要因による発生の可能性」、「けがの程度」の計4つの要素により、加算方式で行った例。
(以上「事例でわかる職場のリスクアセスメント」より)
3.リスクの見積もりを、「災害の重篤度の区分」、「災害の可能性の区分」の2つの要素により、マトリクス方式で行った例。
(以下「多店舗展開企業(小売業)でのリスクアセスメントマニュアル」より)
4.作業手順書を活用する様式(例)
【参考】 リスクアセスメント関連の資料及びWebサイト
リスクアセスメントの具体的な進め方について、厚生労働省が示している指針があります。
■一般的なリスクアセスメントに関する指針(労働安全衛生法施行令第2条第1号及び2号の業種が対象)
・危険性又は有害性等の調査等に関する指針
・危険性又は有害性等の調査等に関する指針について(施行通達)
・危険性又は有害性等の調査等に関する指針・同解説
■機械の製造者・使用者に対する指針(労働安全衛生法施行令第2条第1号及び2号の業種が対象)
・機械の包括的な安全基準に関する指針
・「機械の包括的な安全基準に関する指針」の解説等について
■対象となる化学物質を取り扱う事業者に対する指針(全業種が対象)
・化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針
・化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針について
■リスクアセスメント教育教材
リスクアセスメントを学ぶ職長教育の対象業種は6業種に限られているため、研修用テキストが作成されています。
・「リスクアセスメント担当者養成研修受講者用テキスト」
・「リスクアセスメント担当者養成研修講師用テキスト」
機械を使用する事業者向けの指針をより具体的に解説したテキストです。
・「機械ユーザー向け機械災害予防セミナー」
■また、以下の例のように各種の作業別リスクアセスメント資料も作成されています。
・「食品加工作業におけるリスクアセスメント」(リーフレット)
・「木材加工作業におけるリスクアセスメントのすすめ方」
・「運輸業等における荷役災害のリスクアセスメントのすすめ方」(リーフレット)
以上は一例です。
Webサイト
実践に際して参考となる資料などは、検索サイトで「リスクアセスメント等関連資料」を入力し検索します。
候補の中から『リスクアセスメント等関連資料・教材一覧|厚生労働省』を選んで開きます。
沢山の資料がありますので、ご自分の業種や作業に合ったものを選びダウンロードして使用します。
※労働安全衛生マネジメントシステムに関する資料も含まれています。
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