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【第1章】2 安全管理者の役割と職務①

2-1 安全管理者の役割

安全管理者は総括安全衛生管理者又は事業場トップ(支店長・工場長・所長など。経営者を含む。)の指揮監督を受けながら、法に定められた事業場の安全管理業務を進めていくうえでの管理者という立場になります。

安全管理者の役割

「労働安全衛生法及び関連法令・通達等に示された業務を、総括安全衛生管理者又は事業場トップ(支店長・工場長・所長など。経営者の場合を含む。)の指揮監督を受けながら、その目的や基準に沿って円滑に処理・推進していくための手段を講じること」

2-2 安全管理者の選任

選任すべき事業場

安全管理者を選任すべき事業場は、以下の規模及び業種の両方に当てはまる事業場です。

①規模・・・常時50人以上の労働者を使用

②業種・・・安衛令第2条第1号及び第2号の業種

林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業。


※この場合の「労働者」には臨時工、契約社員、派遣労働者、パートタイマー、アルバイト等の、いわゆる非正規労働者を含みます。

※安衛法の「事業者」は企業そのもの、言い換えれば全体を指していますが、安全管理の対象単位は事業場ごととしています。例えば自動車製造業であっても本社ビルでは事務作業しか無い場合、その事業場に製造業に対するルールを当てはめることは合理的ではありません。従って、この場合の業種は事業場ごとに判断します。


以下のような業種で常時使用する労働者が一定数以上の場合には、安全管理者のうち少なくとも1人を専任の安全管理者にしなければなりません。

業種表

ということは、専任の安全管理者以外は通常業務(会社の業務など)との兼務を認めているということですが、法定の安全管理業務とそれ以外の通常業務が競合した場合、どちらが優先するのでしょうか?

これはもちろん法令順守が優先です。従って、安全管理者としての業務を果たしたうえで、なお余裕があれば通常業務を行ってもよいと考えるのが至当です。


選任時期および事由

事業者は、選任すべき事由が発生した日から十四日以内に安全管理者を選任し、選任後は遅滞なく所定の様式による報告書を、当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長へ届け出なければなりません。

選任すべき事由には、以下の例が考えられます。

①前任者の転勤・退職

②労働者数増加

③新規事業場開設

④業種の変更


例えば①の場合で3月31日に前任者が退職した場合、4月14日までに安全管理者を選任し、記録しておく必要があります。


定員

安全管理者の定員は、以下の場合を除いて特に定められていません。

『特殊化学設備(発熱反応が行われる反応器等異常化学反応又はこれに類する異常な事態により爆発、火災等を生ずるおそれのあるもので配管を除く)を設置する事業場で、都道府県労働局長が指定する生産施設では常時、安全管理の技術的事項を管理するのに必要な数の安全管理者を選任しなければならない(労働安全衛生規則第4条第1項第3号)。』


これ以外の事業場で何人選任するかは事業者に任されているということであり、その業種や規模などに応じて、定められた業務を遂行できるだけの人数を選任する、ということになります。


資格要件

安全管理者の被選任資格は以下のとおりです。

1.以下の(1)~(5)のいずれかに該当する者で、厚生労働大臣が定める研修(安全管理者選任時研修)を修了したもの

(1)学校教育法による大学、高等専門学校における理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後2年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの

(2)学校教育法による高等学校、中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの

(3)学校教育法による大学、高等専門学校における理科系統の課程以外の正規の課程を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの

(4)学校教育法による高等学校、中等教育学校において理科系統の学科以外の正規の学科を修めて卒業した者で、その後6年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの

(5)7年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの

(6)その他(職業訓練課程修了者関係)

2.労働安全コンサルタント


その他

・安全管理者と衛生管理者は兼務してもよいのでしょうか?

→兼務禁止規定はありませんが、例えば10~49人までの事業場を対象とした「安全衛生推進者」という職と比較しますと、わざわざ安全管理者と衛生管理者を分けている意味・目的からして、兼務は望ましくないと考えられます。実際には、いずれも一定の資格要件が必要なことから兼務を認めている例もあるようですし、逆に認められなかった例もあるようですので、事前に所管の労働基準監督署に確認してください。


・社長が安全管理者となってもいいでしょうか?

→問題ありません。安衛法の目的に照らし、各種権限を持っている最高責任者が安全管理者として業務を遂行されることは、むしろ望ましいとも言えます。ただし、社長としての業務で多忙な方が多いと思われますので、実際には安全管理者としての所定の業務が充分実施可能な場合に限られると考えられます。


 

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