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労災保険の基礎知識 – 具体的な補償内容

労災保険による補償は、保険給付社会復帰促進等事業に大別できます。

保険給付

給付の種類、支給事由、給付内容は以下の通りです。
給付の名称は業務災害と通勤災害で異なり、業務災害では「補償」の用語が付きます。

療養[補償]給付
療養が必要なとき 療養の給付(原則):労災指定病院等にかかった場合は、現物給付(治療・薬剤など)となり患者は無料で療養できます。
療養の費用の給付
(例外):労災指定病院等以外で治療を受けた場合、患者が一旦費用を支払い、後日その分の現金が支給されます。
休業[補償]給付
療養のため働くことができず賃金を受けられない日が4日以上続くとき 給付金額は、給付基礎日額(平均賃金相当額)の6割です。
傷病[補償]年金
療養開始後1年6ヵ月経っても傷病が治ゆせず、かつ傷病等級1~3級に該当するとき 等級に応じ、給付基礎日額の313~245日分が支給されます。休業[補償]給付に代わって支給されます。
障害[補償]給付
傷病が治ゆしたときに身体に一定の障害が残ったとき 障害[補償]年金:障害等級が1~7級のとき。等級に応じ、給付基礎日額の313~131日分が年金で支給されます。
障害補償一時金:障害等級が8~14級のとき。等級に応じ、給付基礎日額の503~56日分が一時金で支給されます。
介護[補償]給付
障害[補償]年金・傷病[補償]年金を受ける人が一定の障害により介護を受けているとき 原則は、介護費用として支出した額が支給されます。常時介護か随時介護か、親族・友人・知人の介護を受けているかなどによって、上限額・最低保障額・一律定額などが決まっています。
遺族[補償]給付
被災労働者が死亡したとき 遺族[補償]年金:生計を維持されていた家族に支給されます。遺族の数や状況に応じ、給付基礎日額の153~245日分が年金で支給されます。
遺族[補償]一時金
:遺族[補償]年金を受ける家族がいない場合等に最先順位の遺族に支給されます。給付基礎日額の1,000日分が一時金で支給されます。
葬祭料(通勤災害では葬祭給付)
葬祭を行うとき 葬祭を行う人に、315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額または給付基礎日額の60日分の額のいずれか高い方の額が支給されます。
二次健康診断等給付
定期健康診断等で、血圧・血中脂質・血糖・腹囲またはBMIの各検査全てに異常があったとき(ただし、脳血管疾患または心臓疾患の症状を有する人は対象外) 二次健康診断と特定保健指導の現物給付のみです。本人の請求に基づき1年度内で1回のみ受診できます。

 

いくつかの保険給付では特別支給金が上乗せされます。
例えば、休業[補償]給付の支給事由に該当する場合、社会復帰促進等事業から休業特別支給金も支給されます。つまり、休業[補償]給付から給付基礎日額の6割、休業特別支給金から2割、合わせて約8割相当の補償が行われます。

 

社会復帰促進等事業

社会復帰促進事業、援護事業、安全衛生・労働条件等の確保事業が、社会復帰促進等事業の3本柱です。

 社会復帰促進事業 
被災労働者の社会復帰を促進するための事業
労災病院の設置、義肢等の支給、傷病治ゆ後のアフターケアなど

 援護事業 
被災労働者やその遺族の生活を援護するための事業
所定の保険給付に上乗せされる特別支給金(表2)の支給、被災労働者の子や遺族の就学等援護費の支給、年金担保資金の貸付けなど

 安全衛生・労働条件等の確保事業 
労働者の安全衛生や適切な労働条件等を確保するための事業
労働災害防止対策の実施、健康診断センターの設置・運営、未払賃金の立替払事業など

 

表2 特別支給金の内容

支給金の種類 支給事由 支給金の内容
休業特別支給金 休業[補償]給付に同じ 給付基礎日額の2割
傷病特別支給金 傷病[補償]年金に同じ 傷病等級に応じて114~100万円
傷病特別年金 傷病[補償]年金に同じ 傷病等級に応じて算定基礎日額の313~245日分
障害特別支給金 障害[補償]給付に同じ 障害等級に応じて342~8万円
障害特別年金 障害[補償]給付に同じ 障害等級に応じて算定基礎日額の313~131日分
障害特別一時金 障害[補償]一時金に同じ 障害等級に応じて算定基礎日額の503~56日分
遺族特別支給金 遺族[補償]給付に同じ 一律300万円
遺族特別年金 遺族[補償]年金に同じ 遺族の数や状況に応じて算定基礎日額の153~245日分
遺族特別一時金 遺族[補償]一時金に同じ 算定基礎日額の1,000日分

 

(参考文献 ※1、※3、※4、※6、※7)

 

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