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【第4章】第5節 救急処置③

3.一次救命処置②

2.人工呼吸の手順

窒息や溺水による心停止、子どもの心停止や救急隊が到着するまでに時間がかかる場合などでは、胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせた心肺蘇生を行うことが強く望まれます。適切な人工呼吸を行うために、消防機関や日本赤十字社などが行う講習会で訓練を受け、しっかりとした技術を身につけておきましょう。

人工呼吸は次の手順で行ってください。


1)気道確保

喉の奥を広げ、空気の通り道を確保することを気道確保といいます。片手で傷病者の額を押さえながら、もう一方の手の指先を傷病者のあごの先端、骨のある硬い部分に当てて押し上げます(図14)。これにより傷病者の頭部が後屈され、顔がのけぞるような姿勢になります。このようにして行う気道確保を頭部後屈あご先挙上法と呼びます。このとき、あごの下の軟かい部分を指で圧迫しないよう注意してください。

頭部後屈あご先挙上法による気道確保

2)人工呼吸

頭部後屈あご先挙上法で傷病者の気道を確保したまま、口を大きく開いて傷病者の口を覆って密着させ、息を吹き込みます。このさい、吹き込んだ息が傷病者の鼻から漏れ出さないように、額を押さえているほうの手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまみます。

息は傷病者の胸が上がるのが見てわかる程度の量を約1秒間かけて吹き込みま す。吹き込んだら、いったん口を離し、傷病者の息が自然に出るのを待ち、もう一度、口で傷病者の口を覆って息を吹き込みます(図15)。このような人工呼吸の方法を「口対口人工呼吸」と呼びます。

口対口人工呼吸

息を吹き込むにつれて傷病者の胸が(呼吸をしているように)持ち上がるのを確認します。息を吹き込んだときに(2回とも)胸が上がるのが目標ですが、うまく胸が上がらない場合でも、吹き込みは2回までとします。2回の吹き込みを行う間は胸骨圧迫が中断されますが、その中断は10秒以上にならないようにします。

口対口人工呼吸による感染の危険性はきわめて低いといわれていますが、手元に感染防護具がある場合は使用します。感染防護具にはシートタイプのものとマスクタイプのものがあります。シートタイプのものは傷病者と自分の口の間に空気が通る部分を当てて通常の口対口人工呼吸を行います(図16)。マスクタイプのものは傷病者の口と鼻を覆って顔面に密着させ、一方弁の付いた吹き込み口から息を吹き込みます(図17)。

感染防護具

 

 

 

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