【第3章】第5節 保護具・防具の管理
1.保護具・防具の管理
絶縁用保護具・防具は、その性質上管理の仕方によって各々の性能を低下させることがあります。保管場所については、日光、油、湿気、ほこりの多い場所は避け、保管棚等においても、釘や突起物などで損傷しないように注意します。
また、特に絶縁用ゴム製品の劣化を促進する要素は空気中の酸素とオゾンで、これらの作用を促進するのは熱と紫外線です。従って長時間屋外に放置すると変色が生じるなど、劣化が著しい場合があります。また、折りたたんだり変形したままで保管すると、折り目の部分に復元しにくい「くせ」が出来て亀裂が生じやすくなるので、変形や歪みの無い本来の形で保管することが大切です。
なお、過度なほこり、油や溶剤が付着した場合、絶縁用ゴム製品の場合は直ちに薄い石鹸水等(中性洗剤)で洗い落とした後、水洗いして拭き取り、パウダー(高純度タルクパウダー)等を付けて保管します。絶縁用樹脂製品の場合は、直ちに中性洗剤を使い一度拭き取ったあと、真水で洗浄し陰干しを行った後保管します。
絶縁用保護具等の重要性から、保管場所については一般の工具等と区別して保管し、保管管理者の選任及びその表示を行うなどの措置が望まれます。
交流で300ボルトを超える低圧の充電電路で用いられる絶縁用保護具・防具等については、安衛則第351条において「六か月ごとに一回、定期的に、その絶縁性能について自主検査を行わなければならない。ただし、六か月を超える期間使用しない絶縁保護具等の当該使用しない期間においては、この限りでない。」と規定されています。
絶縁用保護具は身に着け、絶縁用防具は充電電路を覆い隠すことにより、接触による感電の危険から作業者を守るものです。ところが保管管理が不適切だったため、使用時点で保護防護の役目を果たさず災害が発生した例もあります。
例え刃物で指を切り落としてもそれだけですぐ命を奪われることはないでしょうが、絶縁用手袋にピンホール(ごく小さな孔)が開いていただけでも感電する可能性はあり、場合によっては死に至る危険も考えられます。
保護具・防具の適切な着用や保管・点検が求められます。
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