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【第3章】第4節 安全作業用具

1.墜落制止用器具(安全帯)

墜落制止用器具(安全帯)は高所での作業を行う場合の墜落を防止する為に使用します。安衛則第518条(作業床の設置等)では、「事業者は、高さが2m以上の個所で作業を行う場合において墜落により労働者に危険を及ぼす恐れのある時は、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けるか、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等、墜落による労働者の危険を防止する為の措置を講じなければならない」と、「要求性能墜落制止用器具(安全帯)の使用」について規定しています。(高所作業車など、その他のケースでの使用義務規定あり)

※関係法令の改正により、平成31年(2019年)2月1日より「安全帯」の名称は「墜落制止用器具」に変更され、また、改正後墜落制止用器具として認められるのは、「胴ベルト型(一本つり)」と「ハーネス型(一本つり)」のみとなり、「胴ベルト型(U字つり)」は墜落制止用器具とは認められないこととされました。


墜落制止用器具(安全帯)

墜落制止用器具の使用前の注意は、外観目視確認が主となり①ベルトの損傷②フック機能の確認③ランヤードのロープ損傷、④D環の損傷、⑤バックルの機能等を必ず確認します。作業場(現場)においては、朝礼場に実際に装着して自身の体重をかけてみる「安全帯使用確認設備」が設けられている所もあります。

使用時の注意として以下のような事項が挙げられます。

①墜落制止用器具の各部ベルトはしっかり締め、墜落時に抜けてしまう様な緩み等が無いこと

②落下時の衝撃を少なくするため、フックはできるだけD環より高い位置に取り付ける

③使用条件によりショックアブソーバ(1種・2種)や胴ベルト・フルハーネスなどの使い分けが必要になること

・6.75mを超える高さではフルハーネス型を使用しなければならない(一般的な建設業は5m、柱上作業などは2mを超える高さでのフルハーネス型使用を推奨)

・6.75m以下の高さでは胴ベルトを使用してもよいが、その場合は1種ショックアブソーバのランヤードを使用し、腰高以上にフックを掛けなければならない

・フルハーネス型を使用する場合で腰より低い位置にフックを掛ける場合は2種ショックアブソーバのランヤードを使用、腰より高い位置に掛ける場合は1種のものを使用してもよい

・使用する墜落制止用器具の型、ランヤードの長さやタイプによって落下距離が違うため、墜落時に地面と衝突しないように配慮が必要であること

④フックを掛ける対象物は墜落阻止時の衝撃に十分耐えられる強度がある所を選ぶこと

⑤胴体とベルトの間に道具等をはさまないこと


労働安全法第四十二条及び同法施行令第13条第3項第28号の規定に基づき、名称・構造や強度等に関する「墜落制止用器具の規格」が定められており、この規格に適合したものを使用しなければなりません。

※「墜落制止用器具の規格」については平成31年1月に「安全帯の規格」から改正公布され、平成31年2月1日から施行されました。

また、改正前の規格(旧規格)のものについては令和4年(2022年)1月1日までは使用可能ですが、翌日以降使用禁止となります。


各種フルハーネス型墜落制止用器具

各種フルハーネス型墜落制止用器具

※「高さが二メートル以上の箇所であつて作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務」については平成31年(2019年)2月1日より、特別教育を行わなければならないとされています。


2.短絡接地器具

短絡接地器具は、主に高圧・特別高圧等の電路の停電作業を行う場合、誤通電や他の電路との混触等による不意の通電を防ぐと共に、感電防止の目的で使用されます。一般の受電設備は高圧引き込みから低圧へと密接に連携している為、受電設備の低圧側を直接工事する場合は、高圧側を完全に停電したうえ短絡接地器具が取り付けられていることが、低圧側の感電防止に重要です。

短絡接地器具

短絡接地器具の取付けと取り外し手順(電気用ゴム手袋装着)

① 検電器による停電確認

② 残留電荷の放電措置

③ 接地極に短絡接地器具の接地側を取り付ける

④ 1相・2相・3相に短絡接地器具を取り付ける

⑤ 停電作業の実施

⑥ 停電作業の終了を確認(人払い・周囲の確認)

⑦ 1相・2相・3相の短絡接地器具を取り外す

⑧ 接地極側を取り外す


安衛則第339条(停電作業を行う場合の措置)では、「開路した電路が高圧又は特別高圧であつたものについては、検電器具により停電を確認し、かつ、誤通電、他の電路との混触又は他の電路からの誘導による感電の危険を防止するため、短絡接地器具を用いて確実に短絡接地すること。」となっています。

 

 

 

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