【第4章】参考:空気呼吸器と酸素呼吸器 Ⅱ 酸素呼吸器①
1 酸素呼吸器の種類
循環式酸素呼吸器は使用者の呼気を再利用する方式であり、二酸化炭素を清浄剤で吸収・除去し酸素と合わせて循環させる仕組みになっています。
酸素供給の方式は、圧縮酸素形(高圧酸素ボンベ使用)と酸素発生形がありますが、酸素発生形は取り扱いがやや難しいため、現在一般には圧縮酸素形が広く使用されています。
2 圧縮酸素形循環式①
(1)構造
圧縮酸素形循環式呼吸器は、高圧酸素ボンベの酸素を減圧し、定量補給ノズルより循環回路に供給する仕組みになっています。
激しい活動で呼吸量が増えた場合にはデマンド弁が働き、自動的に酸素が循環回路に追加補給され着用者に必要な酸素を供給する機能や、呼吸量が低下した場合に循環回路内の圧力が一定以上上昇しないように自動排気弁より呼吸器外に排出する機能も備えています。
使用可能時間は、通常の使用で約150分とし、残りの使用可能時間は圧力指示計で確認します。
警報装置はボンベ残圧が約3MPaになると作動するようになっています。
また、面体内(循環回路内)に有害な外気が侵入したときは、手動補給弁により、有害な外気を排除することができます。手動補給弁の多用は酸素を浪費し、使用可能時問が減少するので注意が必要です。
陽圧形は吸気時も面体内圧を陽圧に保つので、面体と顔面のすき間からの外気の漏れ込みがなく、安全性が高い呼吸器です。
(2)装着前の点検
点検は、酸素ボンベの圧力が最高充てん圧力の80%以上あること及び清浄剤の有効期限の確認などを行います。また、清浄缶に貼付されている交換記録表の「交換日」から6力月以上経過したものは、清浄能力が低下しているおそれがあるので、使用できません。
なお、この呼吸器は他のものと比較して酸素濃度の維持や二酸化炭素の除去などの正確さ・精密さを求められるため、点検の詳細を以下に示します。
① 面体の点検
接顔部に変形、粘着、亀裂がないこと
しめひもに変形、粘着、亀裂がないこと
アイピースに視界を妨げる傷がないこと
二叉管接続口の内面に傷、汚れ、異物の付着がないこと
② 呼気管と吸気管部の点検
二叉管にキャップが付いていること(付いていないと二酸化炭素吸収剤が劣化して、二酸化炭素中毒のおそれがある)
Oリング(環状のゴムパッキン)に傷やゴミが付いていないこと
呼気管と吸気管に変形、粘着、亀裂がないこと
ホースクランプの締め付けねじは、所定位置にありかつ手で回しても緩まないこと。
二叉管と呼気管及び吸気管を軽く手で引っ張ても抜けないこと
③ 圧力指示計及び圧力指示計導気管の点検
圧力指示計は破損がなく、指針がゼロを示していること
圧力指示計導気管に破損、傷、折れがないこと
④ バンド類の点検
肩バンド、胸バンド、脇バンド、腰バンドに著しい摩耗や傷がないこと
脇バンドは、肩バンドと連結していること
バックル、クリップなどの金属に変形、破損、脱落がないこと
⑤ 吸気冷却装置ゴム蓋の点検
吸気冷却装置のケース外面のゴム蓋に破損、脱落がないこと
⑥ 呼吸器本体内部の点検
・高圧酸素容器の点検
圧力指示計の示度が規定値内であること
・清浄缶の点検
記載の日付が充てん日から1年以内かつ、
取り付け日から6か月以内であること
・吸気冷却装置の点検
吸気冷却装置に変形、割れがないこと
・呼吸袋の点検
呼吸袋のゴム部分に粘着、亀裂がないこと
連結部にねじれやはさみ込みがなく
正常に作動する状態であること
・連結ナット及びキャップの点検
各箇所の連結ナット及びキャップが手で締めて十分締まっていること
(3)装着方法
①面体のアイピースの内側にくもり止め液をスプレーし、柔らかい布等で軽くのばし、少し乾いてから(10~20秒後)、息を吹きかけてもくもらないことを確認します。
②吸気冷却装置のゴム蓋を外し、氷を入れます。
③呼吸気管は体の前側にくるように器械を背負います。
④脇バンドを下へ引き、背中に固定します。
⑤胸バンド、腰バンドを接続し、長さを調整します。
⑥二又管キャップを取外します。
⑦二又管と面体を接続し、面体のつりひもを首にかけます。
⑧二叉管のクリップ2カ所が面体のストッパーに掛かり、抜けないことを確認します。
⑨酸素ボンベのそく止弁をゆっくり開き、全開にします。
⑩面体のしめひもを左右の手の親指で広げ、あごの方からかぶります。
⑪面体のしめひもを下の方から順番に左右同時に後ろへ引きます。
⑫呼気管と吸気管を左右の手で強く握って閉塞し、軽く吸気し面体が顔に吸い付くことを確認します。そのまま首を上下左右に振った後も吸い付いたままであることを確認します。
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