【第2章】1 リスクアセスメント④
1-3 リスクアセスメントの進め方 2)実施の手順・要領
2) 実施の手順・要領
①実施時期
指針
5 実施時期
(1)事業者は、次のアからオまでに掲げる作業等の時期に調査等を行うものとする。
ア 建設物を設置し、移転し、変更し、又は解体するとき。
イ 設備を新規に採用し、又は変更するとき。
ウ 原材料を新規に採用し、又は変更するとき。
エ 作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき。
オ その他、次に掲げる場合等、事業場におけるリスクに変化が生じ、又は生ずるおそれのあるとき。
(ア)労働災害が発生した場合であって、過去の調査等の内容に問題がある場合
(イ)前回の調査等から一定の期間が経過し、機械設備等の経年による劣化、労働者の入れ替わり等に伴う労働者の安全衛生に係る知識経験の変化、新たな安全衛生に係る知見の集積等があった場合
(2)事業者は、(1)のアからエまでに掲げる作業を開始する前に、リスク低減措置を実施することが必要であることに留意するものとする。
(3)事業者は、(1)のアからエまでに係る計画を策定するときは、その計画を策定するときにおいても調査等を実施することが望ましい。
実施時期は大別して「その都度」と「定期」の二つがあります。建設物・設備・原材料・作業方法や作業手順の新規設置や採用の場合と変更の場合、労働災害が発生した場合などがその都度であり、これとは別に一定期間を定めて実施するよう求められています。
なお、「一定期間」については業種や規模などにより事業者ごとに定めればよいとされていますが、事業場の安全衛生計画に組み込むなど計画的に実施するようにします。
②実施対象
指針
6 対象の選定
事業者は、次により調査等の実施対象を選定するものとする。
(1)過去に労働災害が発生した作業、危険な事象が発生した作業等、労働者の就業に係る危険性又は有害性による負傷又は疾病の発生が合理的に予見可能であるものは、調査等の対象とすること。
(2)(1)のうち、平坦な通路における歩行等、明らかに軽微な負傷又は疾病しかもたらさないと予想されるものについては、調査等の対象から除外して差し支えないこと。
実施対象は「危険性又は有害性による負傷又は疾病の発生が合理的に予見可能であるもの」とされており、ここでは事業場内の広範な危険性又は有害性が対象となっています。
また、ただ表面化(顕在)している危険を発見するということのみではなく、「予見」ですから、設備や作業手順あるいは人の行動などにより起こり得る災害を具体的に予測する必要があります。
③実施内容
指針
3 実施内容
事業者は、調査及びその結果に基づく措置(以下「調査等」という。)として、次に掲げる事項を実施するものとする。
(1)労働者の就業に係る危険性又は有害性の特定
(2)(1)により特定された危険性又は有害性によって生ずるおそれのある負傷又は疾病の重篤度及び発生する可能性の度合(以下「リスク」という。)の見積り
(3)(2)の見積りに基づくリスクを低減するための優先度の設定及びリスクを低減するための措置(以下「リスク低減措置」という。)内容の検討
(4)(3)の優先度に対応したリスク低減措置の実施
(3)「優先度の設定」と(4)「措置の実施」の間には、事業者による「意思決定」が存在します。また、正しい意思決定のためには当然ながら(1)から(3)のプロセスが正しく行われていることが必要となります。
なお、リスクアセスメントを実施する準備として、必要な情報を入手しておきます。特に作業標準又は作業手順書は有力な情報となります。
指針
7 情報の入手
(1)事業者は、調査等の実施に当たり、次に掲げる資料等を入手し、その情報を活用するものとする。入手に当たっては、現場の実態を踏まえ、定常的な作業に係る資料等のみならず、非定常作業に係る資料等も含めるものとする。
ア 作業標準、作業手順書等
イ 仕様書、化学物質等安全データシート(MSDS)等、使用する機械設備、材料等に係る危険性又は有害性に関する情報
ウ 機械設備等のレイアウト等、作業の周辺の環境に関する情報
エ 作業環境測定結果等
オ 混在作業による危険性等、複数の事業者が同一の場所で作業を実施する状況に関する情報
カ 災害事例、災害統計等
キ その他、調査等の実施に当たり参考となる資料等
「非定常作業」においてトラブルが発生しがちであることから、蛍光管の取り換え・年に数回の部品交換や補修など「あらかじめ予測可能な非定常作業」についても、作業手順書を作成しておくようにします。
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