【第1章】5 労働災害の原因の調査と再発防止対策③
5-3 事例で見る再発防止策
(1) 店内の調理場にて、濡れた床で足を滑らせ、転倒した
発生状況
店内の調理場にて、濡れた床で足を滑らせ、転倒した
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 厨房の床が、濡れたままの状態で放置され、滑りやすくなっていたこと。
対策
同災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 調理場では、水で濡れた床を放置せず、速やかに拭き取ること。
2 調理場では、滑りにくい履物を着用すること。
3 調理場では、足元に十分注意し、作業を行うこと。
4 事業場にて、安全衛生活動を行う者を選任し、調理場における業務の作業手順書を作成し、労働者に対する安全衛生教育を十分に行うこと。
(2) 荷降ろし中、トラックのテールゲートから荷が落下し、下敷きになる
発生状況
この災害は、トラックのテールゲートを使って荷を積み降ろしていたところ、落下した荷の下敷きとなったものである。
災害発生時の作業は、トラックで運ばれて来た機械(1.2t)3台を積み降ろすものであり、被災者ら搬入先の労働者4名と、荷を運んできた運送会社の運転手の5名で行われていた。
作業方法は、キャスターに乗った機械をトラックの荷台からテールゲートまで移動させてから、リモコン操作でテールゲートを地面の高さまで下げてから倉庫の奥に運ぶこととした。
そして、2台の機械を運び終え、3台目の機械をテールゲートに移動させたとき、トラックが、後ろ向きに傾き、機械が落下し、被災者が下敷きとなった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 傾斜のある場所にトラックを止めて作業をしていたこと
積み降ろし作業は、トラックの後ろ側を倉庫の入り口に向けて行われていたが、入り口に向かって地面が下っていたにもかかわらず、修正治具などは使われていなかった。
このため、荷が後方に傾きやすい状態であった。
2 テールゲートの最大積載荷重を超えていたこと
テールゲートの最大積載荷重は、1tであるのに対し、荷は、1.2tであった。このため、トラックの後方が沈みやすい(前方が浮き上がりやすい)状態であった。
3 事前に、作業手順や作業方法が定められていなかったこと
作業指揮者が定められておらず、作業方法や作業分担なども特に定められていなかった。
また、被災者は、荷が滑り落ちやすいテールゲートの後方で作業をしていた。
対策
同災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 トラックが水平な状態で荷を降ろすこと
トラックから荷降ろしを行う場合は、原則として、平坦な場所で行う。傾斜のある場所で行う場合は、修正治具を使用し、トラックが水平となっていることを確認してから荷を降ろす。
2 最大積載荷重を超えないこと
テールゲートを用いて、荷の積み卸しを行うときは、事前に荷の重量とテールゲートの最大積載荷重を確認し、最大積載荷重を超える荷の積み降ろし作業には、使用しない。
3 作業指揮者、作業方法等を定め、それに基づき作業を実施すること
あらかじめ、荷や場所などの状況を踏まえ、作業方法や作業分担を定め、それに基づく作業を徹底する。また、作業指揮者も事前に決めておく。
厚労省「職場のあんぜんサイト」(http://anzeninfo.mhlw.go.jp/)より
地域・講習・人数に合わせてすぐに予約可能
講習会を予約する受講者様のご希望に合わせ、以下のタイプの講習会もご用意しています
このページをシェアする
講習会をお探しですか?