【8】転倒の原因別災害状況
つまずきについて
つまずきは、歩いている際にわずかの段差、また、階段の蹴上を超えるために必要な高さまでつま先を上げられなかった際に発生します。
その際、つま先を段差や階段などにぶつけ、身体が前方向に引っ張られるような力が働き前方や横方向へ転倒します。
この際、手を着いた際に、腕の橈骨(とうこつ)や上腕骨、やや横方向へ転んだ際には、大腿骨頸部の骨折などの危険性が高くなります。
図7.つまずきによる転倒
すべりについて
すべりは、靴と床面間の摩擦が低下することにより生じます。第1の要因はすべりやすい床面であり、また不適切な履物の使用により発生頻度が増加します。
すべりによる転倒は、前方・横への転倒と後方への転倒の2つに分けることができます。
(1)前方・横方向への転倒
歩行中に、後足で歩行面をつま先で蹴った際にすべり、身体が前方向に引っ張られるような力が働き、前方、または横方向へ転倒します。
この際、手を着いた際に、腕の橈骨(とうこつ)や上腕骨、やや横方向へ転んだ際には、大腿骨頸部の骨折などの危険性が高くなります。
図8.すべりによる前方・側方への転倒
(2)後方への転倒
歩行時に、前足のかかとが前方へすべり、身体が後方へ引っ張られるような力が働き転倒します。この際には、高齢者では、シリモチをついて腰椎の圧迫骨折、また手が上手くつけない場合には、後頭部を強打する危険性があります。
図9.すべりによる後方への転倒
後方へすべって転倒する際には、およそ0.83秒で転倒、頭部への衝撃速度は22~23km/hに到達することが明らかとなっています。つまり、一度すべり出してしまうと、われわれの反射では、すべりによる転倒を防ぐことは大変難しくなります。
踏み外しについて
踏み外しによる転倒は、歩いている際に、前方の穴などに足を踏み入れてしまう、歩行面が予測していた高さより低い、などの場合に発生します。
その際、つま先を穴や段差に取られ、身体が前方向に引っ張られるような力が働き、前方や横方向へ転倒します。
特に、大きな荷物を抱えているなど、足元が見えない状況下で発生しやすくなっています。
この際、手を着いた際に、腕の橈骨(とうこつ)や上腕骨、やや横方向へ転んだ際には、大腿骨頸部の骨折などの危険性が高くなります。
図10.踏み外しによる転倒
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