【第1章】2 安全管理者の役割と職務④
2-4 安全(衛生)委員会
安全委員会の設置目的は「・・・次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、・・・」(安衛法第17条)となっています。
事業場の安全について最終責任は事業者にありますが、一定の施策の意思決定に関して労働者の意見を聞くという観点から設けられている制度です。稀に安全(衛生)委員会に各種施策の意思決定権を持たせている例があるようですが、あくまで「意見を述べる」という立場で運営されるべきものです。
安全管理者の立場で委員会に参加する場合は、中心的な役割を果たすことが期待されます。
以下に該当する事業所は、安全委員会を設置しなければならない(労働安全衛生法施行令第8条)とされています。
①林業、鉱業、建設業、製造業のうち木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業及び輸送用機械器具製造業、運送業のうち道路貨物運送業及び港湾運送業、自動車整備業、機械修理業並びに清掃業で、常時50人以上の労働者を使用する事業場。
②道路貨物運送業及び港湾運送業を除く運送業及び清掃業、木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業及び輸送用機械器具製造業を除く製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業で、常時100人以上の労働者を使用する事業場。
なお、安全委員会と衛生委員会を設置しなければならない事業所では、それらを合わせた安全衛生委員会を設置してもよいことになっています。
安全委員会の構成については、以下の規定があります(労働安全衛生法第17条)。
①総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
②安全管理者のうちから事業者が指名した者
③その事業場の労働者で、安全に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
委員のうち①の委員は1名であり、委員会の議長となります。②と③の委員については事業者が指名しますが、その半数については、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければなりません。
安全委員会の付議事項は以下のように定められています(労働安全衛生法第17条・労働安全衛生規則第21条)。
・労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること。
・労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。
・安全に関する規程の作成に関すること。
・労働安全衛生法第28条の2第1項又は第57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、安全に係るものに関すること。
・安全衛生に関する計画(安全に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
・安全教育の実施計画の作成に関すること。
・厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は産業安全専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の危険の防止に関すること。
事業者は、安全委員会における議事で重要なものについての記録を作成して、3年間保存しなければなりません(労働安全衛生規則第23条第4項)。議事録には開催日時、開催場所、出席者、審議事項(議題)、議事の内容、決定事項などが出席していない人にも伝わるように記録しておきます。議事録の概要は、掲示などにより職場内で周知する仕組みが必要です。
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