安全衛生管理体制(総括安全衛生管理者・衛生管理者・産業医・作業主任者)
学習の急所
総括安全衛生管理者(一定の規模以上の事業場について、事業を実質的に統括管理する者=工場長等)の選任を必要とする事業場
業 種 | 労働者数 |
---|---|
①屋外産業的業種 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 | 常時100人以上 |
②屋内産業的業種のうち工業的業種 製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具•建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業(百貨店)、家具•建具•じゆう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業 | 常時300人以上 |
③屋内産業的業種 その他の業種(金融業、保険業、医療業等)非工業的業種 | 常時1,000人以上 |
衛生管理者
事業者は、業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに所定の数の衛生管理者を選任しなければなりません。
事業場の規模(常時使用する労働者数) | 最低選任数 |
---|---|
50人以上~ 200人以下 | 1人 |
200人超(201人以上)~ 500人以下 | 2人 |
500人超(501人以上)〜1,000人以下 | 3人 |
1,000人超(1,001人以上)〜2,000人以下 | 4人 |
2,000人超(2,001人以上)~3,000人以下 | 5人 |
3,000人超(3,001人以上) | 6人 |
衛生管理者は業種の区分に応じ、それぞれの資格を有する者の中から選任します。
業 種 | 資 格 |
---|---|
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業 (物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業 | 第1種衛生管理者免許 医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等の衛生工学衛生管理者免許 |
その他の業種 通信業、警備業、各種商品小売業 (百貨店)、旅館業、ゴルフ場業など | 第1種衛生管理者免許 医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等の衛生工学衛生管理者免許 第2種衛生管理者免許 |
次に該当する事業場では、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任とする必要があります。
①常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
②常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働または一定の健康上有害な業務に常時30人以上の労働者を働かせている事業場。なお、この場合は、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者から選任しなければなりません。(多量の低温物体を取り扱う業務および著しく寒冷な場所における業務や深夜業を含む業務は除く)
有害業務とは
多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
重量物の取扱い等重激な業務
ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
深夜業を含む業務
産業医
事業者は、業種を問わず、常時50人以上の労働者が働いている事業場ごとに、産業医を選任しなければなりません。また、常時3,000人を超える労働者を使用する事業場では、2人以上の産業医を選任する必要があります。事業者は選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく選任報告書を所轄労働基準監督署長へ提出しなければなりません。
専属の産業医が必要な場合
①常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
②一定の有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場
作業主任者
作業主任者の選任と資格要件
免 許(要選任) | 技能講習(要選任) | 選任不要 |
高圧室内作業 | 特定化学物質を製造し、または取り扱う作業(金属アーク溶接等作業) | 特定粉じん作業 |
エックス線装置を使用する放射線業務(医療用を除く) | 鉛業務に係る作業(換気が不十分な場所でのはんだ付け作業等、遠隔操作の場合は除く) | 騒音を発生する作業 |
ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真撮影の作業 | 四アルキル鉛等業務 | レーザー光線による金属加 工作業 |
酸素欠乏危険場所での作業(ドライアイスを使用している冷蔵庫の内部の作業など) | 廃棄物焼却作業 | |
有機溶剤等を製造し、または取り扱う業務 | 立木の伐採(チェーンソー を用いる)作業 | |
石綿等を取り扱う作業(試験研究のために取り扱う作業を除く)、または試験研究のための石綿等の製造 | 潜水作業 | |
試験研究の目的で特定化学 物質・有機溶剤を取り扱う 作業 | ||
自然換気が不十分な、はん だ付け作業等 | ||
セメント製造工程においてセメントを袋詰めする作業 |
過去問トレーニング
過去問(令和6年4月)問1
常時600人の労働者を使用する製造業の事業場における衛生管理体制に関する( 1 )~( 5 )の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。ただし、600人中には、製造工程において次の業務に常時従事する者がそれぞれに示す人数含まれているが、試験研究の業務はなく、他の有害業務はないものとし、衛生管理者及び産業医の選任の特例はないものとする。
深夜業を含む業務:300人
多量の低温物体を取り扱う業務:100人
特定化学物質のうち第三類物質を製造する業務:20人
総括安全衛生管理者を選任しなければならない。
製造業では、常時使用する労働者数が300人以上の場合、総括安全衛生管理者を選任しなければなりませんので正しい記述です。
業 種 | 労働者数 |
---|---|
①屋外産業的業種 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 | 常時100人以上 |
②屋内産業的業種のうち工業的業種 製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具•建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業(百貨店)、家具•建具•じゆう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業 | 常時300人以上 |
③屋内産業的業種 その他の業種(金融業、保険業、医療業等)非工業的業種 | 常時1,000人以上 |
衛生管理者のうち1人を、衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければならない。
◯正解 衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければならないのは
①常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
②常時500人を超える労働者を使用する事業場で、有害な業務に常時30人以上の労働者を働かせている事業場
衛生工学衛生管理者の選任の場合、有害業務のうち、多量の低温物体を取り扱う業務および著しく寒冷な場所における業務や深夜業を含む業務は含まれないため、この問題では特定化学物質のうち第三類物質を製造する業務:20人が対象人数となります。30人以下ですので、衛生工学衛生管理者を選任する必要はありません。
衛生管理者のうち少なくとも1人を、専任の衛生管理者としなければならない。
常時500人を超える労働者を使用する事業場で、有害業務に従事している労働者が常時30人以上の事業場ですので、衛生管理者の1人を専任としなければなりませんので正しい記述です。
産業医としての法定の要件を満たしている医師で、この事業場に専属でないものを産業医として選任することができる。
常時使用する労働者数が1000人未満かつ有害業務に従事している労働者数が500人未満のため、産業医は専属である必要はありませんので正しい記述です。
専属の産業医が必要な場合
①常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
②一定の有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場
特定化学物質作業主任者を選任しなければならない。
特定化学物質を取り扱う業務では、特定化学物質作業主任者を選任しなければなりませんので正しい記述です。
免 許(要選任) | 技能講習(要選任) | 選任不要 |
高圧室内作業 | 特定化学物質を製造し、または取り扱う作業(金属アーク溶接等作業) | 特定粉じん作業 |
エックス線装置を使用する放射線業務(医療用を除く) | 鉛業務に係る作業(換気が不十分な場所でのはんだ付け作業等、遠隔操作の場合は除く) | 騒音を発生する作業 |
ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真撮影の作業 | 四アルキル鉛等業務 | レーザー光線による金属加 工作業 |
酸素欠乏危険場所での作業(ドライアイスを使用している冷蔵庫の内部の作業など) | 廃棄物焼却作業 | |
有機溶剤等を製造し、または取り扱う業務 | 立木の伐採(チェーンソー を用いる)作業 | |
石綿等を取り扱う作業(試験研究のために取り扱う作業を除く)、または試験研究のための石綿等の製造 | 潜水作業 | |
試験研究の目的で特定化学 物質・有機溶剤を取り扱う 作業 | ||
自然換気が不十分な、はん だ付け作業等 | ||
セメント製造工程においてセメントを袋詰めする作業 |
過去問(令和5年10月)問1
常時400人の労働者を使用する製造業の事業場における衛生管理体制に関する記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
ただし、400人中には、屋内作業場において次の業務に常時従事する者が含まれているが、その他の有害業務はないものとし、衛生管理者及び産業医の選任の特例はないものとする。
深夜業を含む業務 200人
多量の高熱物体を取り扱う業務 50人
塩素を試験研究のため取り扱う作業を行う業務 30人
総括安全衛生管理者を選任しなければならない。
常時300人以上の労働者を使用する製造業では総括安全衛生管理者の選任が必要ですので正しい記述です。
業 種 | 労働者数 |
---|---|
①屋外産業的業種 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 | 常時100人以上 |
②屋内産業的業種のうち工業的業種 製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具•建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業(百貨店)、家具•建具•じゆう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業 | 常時300人以上 |
③屋内産業的業種 その他の業種(金融業、保険業、医療業等)非工業的業種 | 常時1,000人以上 |
衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければならない。
◯正解 専任の衛生管理者を置かなければならないのは、 常時1,000人を超える労働者を使用する事業場、常時500人を超える労働者を使用する事業場で、特定の有害業務に常時30人以上の労働者を従事させる事業場ですので専任の衛生管理者は不要です。
衛生管理者は、全て第一種衛生管理者免許を有する者のうちから選任することができる。
正しい記述です。
業 種 | 資 格 |
---|---|
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業 (物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業 | 第1種衛生管理者免許 医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等の衛生工学衛生管理者免許 |
その他の業種 通信業、警備業、各種商品小売業 (百貨店)、旅館業、ゴルフ場業など | 第1種衛生管理者免許 医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等の衛生工学衛生管理者免許 第2種衛生管理者免許 |
産業医は、この事業場に専属でない者を選任することができる。
正しい記述です。
専属の産業医が必要な場合
①常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
②一定の有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場
特定化学物質作業主任者を選任しなくてよい。
正しい記述です。
免 許(要選任) | 技能講習(要選任) | 選任不要 |
高圧室内作業 | 特定化学物質を製造し、または取り扱う作業(金属アーク溶接等作業) | 特定粉じん作業 |
エックス線装置を使用する放射線業務(医療用を除く) | 鉛業務に係る作業(換気が不十分な場所でのはんだ付け作業等、遠隔操作の場合は除く) | 騒音を発生する作業 |
ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真撮影の作業 | 四アルキル鉛等業務 | レーザー光線による金属加 工作業 |
酸素欠乏危険場所での作業(ドライアイスを使用している冷蔵庫の内部の作業など) | 廃棄物焼却作業 | |
有機溶剤等を製造し、または取り扱う業務 | 立木の伐採(チェーンソー を用いる)作業 | |
石綿等を取り扱う作業(試験研究のために取り扱う作業を除く)、または試験研究のための石綿等の製造 | 潜水作業 | |
試験研究の目的で特定化学 物質・有機溶剤を取り扱う 作業 | ||
自然換気が不十分な、はん だ付け作業等 | ||
セメント製造工程においてセメントを袋詰めする作業 |
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